毎年8月16日の夜、京都の夏が終わりに近づくころ、五つの山々に壮大な火文字がほぼ同時に灯され、夜空を神聖な光で染め上げます。これは長い歴史を持つ伝統行事「五山送り火」です。
この行事はお盆の最後を締めくくる京都の伝統行事で、燃え上がるかがり火にのせて、お盆の期間に原世に帰ってきた祖先の霊を再び浄土へ送る精霊送りの意味を持ちます。
厳かな空気に包まれるこの夜、京都の人々は静かに山の火を見上げ、祖先への別れとともに、夏の終わりを感じるのです。
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目次 |
１. 五山の送り火とは
「五山送り火」では、毎年8月16日の夜に、京都の五つの山で巨大なかがり火が灯されます。
最初に東山で「大」の字が点火され、続いて松ヶ崎で「妙」と「法」、西賀茂で「船形」、大北山で「左大文字」、最後に嵯峨で「鳥居形」が灯されます。これら五つすべてが京都市の無形民俗文化財に登録されています。
送り火は、お盆が終わる際に祖霊を冥界へ送り返す仏教儀式です。かつては松明の火を空に放ち、祖霊が虚空へ還る様子を象徴していたとされます。特に室町時代以降、仏教が庶民の間に広まる中でこの習俗も定着していきました。
時代とともに、火を空に投げるのではなく、山に火文字を灯す形式へと変化し、祖霊への思いと敬意を山の火に込めるようになったのです。京都の「五山送り火」は、まさにこの習わしから発展した行事です。
２. 点火スケジュールと観覧スポット（予定時間）
◆ 20:00～20:30「大文字」
「大文字」は、最も代表的で最初に点火されます。鴨川沿いの丸太町橋〜御園橋、または京都御苑周辺から観覧が可能です。
◆ 20:05～20:35「妙・法」
「妙」は松ヶ崎西山（万灯籠山）、「法」は東山（大黒天山）に点火されます。「妙・法」は、日蓮宗の題目「南無妙法蓮華経」に由来されています。
「妙」は宝ヶ池自動車教習所付近、「法」は高野川東岸の堤防が観覧スポットです。
◆ 20:10～20:40「船形」
「船形」の点火後、西方寺にて読経と「六斎念仏」の法会も行われます。これは重要無形民俗文化財にも登録されています。「船形」は賀茂川の北山大橋〜西賀茂橋付近から観覧可能。
◆ 20:15～20:45「左大文字」
大北山の大文字山にて点火されます。西大路通、金閣寺付近、西院周辺が観覧スポットに適しています。
◆ 20:20～20:50「鳥居形」
嵯峨鳥居本の曼荼羅山にて点火されます。かつては地面に木杭を打ち、青竹を立てて火を灯していたとされています。現在は鉄製の火床を使用し、火が灯されています。
渡月橋・松尾橋・広沢池周辺が観覧におすすめです。
３. 嵐山 灯籠流し
五山送り火の夜、嵐山では「灯籠流し」が行われます。
灯籠流しも先祖の霊を送り返すために行う、京都の夏の伝統儀式です。
お盆に迎えた祖霊を小さな火を灯した灯籠に託して桂川に流し、冥界への旅立ちを見送ります。渡月橋周辺で開催され、夜の水面に揺れる灯籠の光が幻想的な風景を生み出します。
祖先への弔いと旅路での無事を託す灯籠は、木と紙で作られ、中には和蝋燭を灯します。
灯籠流しは京都の夏を彩る風物詩であり、五山送り火とともにお盆の締めくくりとして、人々の感謝と追慕の気持ちを象徴する大切な行事です。
４. おすすめ商品
お盆の夜、京都では「五山送り火」と「嵐山灯籠流し」が行われ、火の光で祖先の霊を送り、先祖への想いを託します。
その火を灯す「和蝋燭（和ろうそく）」は、単なる火種ではなく、供養と祈りの文化を象徴する道具です。
和蝋燭は安定した炎で煙が少なく、仏壇や寺院、茶道や瞑想などの場でも使われてきました。近年では、実用性と美しさを兼ね備えた生活の道具としても親しまれています。
＜中村ローソク＞ 和ろうそく6本セット
※こちらの商品は実店舗のみで販売しております。
こちらの和蝋燭はハゼの実から採取された蝋が使われた日本古来の「木蝋燭」です。天然素材を使用した木蝋燭は、液だれやすすが少なく仏壇やお部屋をひどく汚すことはありません。環境にやさしいことはもちろん、持続可能な日本の伝統工芸の精神が息づいています。
お盆など、ご先祖さまの大切な仏事のときに火を灯すことは功徳になると言われており、この特別な日に和蝋燭に火を灯すことは、空間を照らすだけでなく、先祖や自然への敬意を映し出す行為なのです。
＜Fillyjonk＞ 鳥居ネックレスとピアス
夏の夜、嵐山の灯籠流しと五山送り火が交差する幻想的なひととき。
祭りに参加し、浴衣をまとった日に、鳥居をモチーフにしたネックレスやピアスを身に着ければ、静謐で神聖な雰囲気が装いに加わります。
鳥居は神域への入口を象徴する存在であり、まるで守りの光のよう。夜空に浮かぶ送り火と呼応し、心を託すアクセサリーとして特別な意味を持つアイテムです。
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５．まとめ
「嵐山の灯籠流し」と「五山送り火」は、ただの夏の行事ではなく、祖先や自然、信仰との繊細で深い繋がりを感じるひとときです。
この特別な夜に、和ろうそくの火を灯すこと、鳥居をモチーフにしたアクセサリーを身につけること、浴衣を着て祭りに参加すること——
どれもが伝統への敬意を表すと同時に、今という時間と心を通わせるひとときでもあります。